51.5: LK-99
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目次
LK-99 について
- オリジナルの論文2本
- Science の記事
- Scientific American の記事: Viral New Superconductivity Claims Leave Many Scientists Skeptical - Scientific American
- 常温超伝導だと何がうれしいの?
- NEDOプロジェクト, 高温超電導実用化促進技術開発
- ”2012年末、超電導状態にするために冷媒として用いられるヘリウムが世界的に 供給不足となる「ヘリウムショック」により、磁気共鳴画像装置(以下「MRI」 (Magnetic Resonance Imaging)という。)、核磁気共鳴装置(以下「NMR」 (Nuclear Magnetic Resonance)という。)等の停止を余儀なくされた。世界の商用 ヘリウムの約8割を生産する米国では、2015年までの期限付きでの民間へのヘリ ウム放出抑制を2020年まで延長することとなったが、それまでに備蓄が底をつく 可能性があると言われている。そのためヘリウムの供給不足リスクに備え、液体ヘリウムを必要としない超電導応用技術開発を行うことが資源セキュリティの観点からも 急務となっている。” 事後評価報告書より
- NEDOプロジェクト, 高温超電導実用化促進技術開発
- 超伝導だと言うための条件は?
- ゼロ抵抗
- 完全反磁性(マイスナー効果)
- 結晶構造、組成の同定
- ほかグループによる再現性
- マイスナー効果とは?
- 磁場中冷却した際に、転移温度以下で物体中から磁場を完全排除する性質
- ゼロ磁場中で転移温度以下で磁場掛けて完全排除するのは完全導体でも生じる
- 反磁性とは? 必要であれば常磁性、強磁性について
- (雑で古典的)物質を構成する原子には電荷をもつ粒子、電子が存在する。磁場を物質にかけたとき、この電子が磁場を感じて渦電流を作る。この渦電流によってかけた磁場と反対方向に磁場が生じる、これが反磁性。ほとんどの物質で反磁性が現れる。この反磁性はふつうきわめて弱いので、プラスチックとかが磁石の上で浮いたりしない。
- 以下補足
- 物質中の電子は、それ自体が磁石的な性質、磁気モーメントをもつ。しかしだいたいは同じような環境にいる、逆向きの磁気モーメントをもつ、ほかの電子と打ち消しあって物質全体で大きな磁気モーメントをとることはない。こういうときは反磁性がその物質の主要な磁性となる。
- 一方で、不対電子があったりして磁気モーメントが生き残る場合があり、こういう時に常磁性や強磁性、反強磁性が見えてくる。
- 生き残った磁気モーメントが、お互いに自由にふるまうとき、これらの磁気モーメントは温度の影響でふらふらしてバラバラの方向を向いて、全体として磁気モーメントをもたない。ここに磁場をかけると、すこしその磁場の方向にモーメントを傾け、全体の傾向として磁場方向に弱いモーメントを持つことになる。これが常磁性
- もしこの時、磁気モーメント間に何らかの相関があったりすると、磁気モーメント間に一方向にそろえようする力が強く働き、全体として磁場方向を向くことがある。これが強磁性。
- 物質中の電子は、それ自体が磁石的な性質、磁気モーメントをもつ。しかしだいたいは同じような環境にいる、逆向きの磁気モーメントをもつ、ほかの電子と打ち消しあって物質全体で大きな磁気モーメントをとることはない。こういうときは反磁性がその物質の主要な磁性となる。
- なんでみんな磁石の動画で喜んでるの?
- 超伝導体であるならば、マイスナー効果とピン止め効果の合せ技で磁石の上に浮くから
- 逆に、浮いたからと言って超伝導体と言えないのが曲者
- どんな物質でも反磁性をもっているので、原理上はどんな物質でも磁場に浮く
- ただし、普通の物質は反磁性よりもずっと大きい常磁性成分や強磁性成分がありそれがみえない
- グラファイトは反磁性が例外的に強く、室温で磁石に浮かせることがデキる。
- 逆に、それほど大きな反磁性を持つ物質はほぼグラファイトしか無い。
- なので、LK-99がそれほど巨大な反磁性体なら、それだけでも異常なこと
- また、通常の磁性体でも、磁石上に浮く現象は生じる。
- ただし、やはりLK-99が磁性体ということになれば、あの組成でそんな磁性体になるのは自明ではないので面白い。
- LK-99の特許: https://patents.google.com/patent/WO2023027536A1/en
- Pubpeer, https://pubpeer.com/publications/82AF24DF343C16341B42CF36B22FA4
- 以下引用
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My personal suspicion is that the authors measured an insulator, so no current flowed, and thus no voltage occurred (4-point measurement). This makes it look like a superconductor. However, if the current is increased (i.e., the applied voltage), it could lead to breakdowns, and a current starts to flow, which would explain the abrupt increase.
-
So I would sum up my feeling citing Pauli : “That is not only not right; it is not even wrong”. There’s just no way to know what happened here, but one thing is for sure : the authors probably dont know either.
-
- 以下引用
- Kim Hyeon Tak claims that he already offered data at his first paper and explains why only part of LK99 shows levitation Reddit
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Why doesn’t LK-99 float completely?
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Our sample produces a one-dimensional superconductor, so next to a straight line of superconductor it is a non-metal. When measured, they appear together. We did not make a very uniform sample. So it floats at an angle.
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- TikTokに完全に浮遊するLK-99片の動画が、匿名アカウントによって投稿された。https://www.reddit.com/r/LK99/comments/15iswfm/worlds_first_lk99_room_temperature_superconductor/
- 国立台湾大学、王立民教授研究室による再現実験youtube liveが放送
- 室温超伝導は確認できず。電気抵抗は半導体的振る舞い。
- LK-99 性質驗證!室溫超導是真的嗎?@台大實驗室 直播馬拉松 03 measurement of room-temperature superconductor LK-99 at NTU
- テレ東biz 秋光先生らへのインタビュー
気になったのはここだな…韓国チームは超伝導を低温や高圧により体積を縮ませることにより再現できると推論をたてただが似たような物質はもうすでにあったという… pic.twitter.com/VttSjThXaK
— 二郎 (@mevius31614591) August 4, 2023
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Djurek, “Onset of ATC superconductivity in Ag5Pb2O6/CuO composite”
PACOシステム!”PbCO3·2PbO+Ag2O and PbCO3·PbO+Ag2O (PACO) systems: route for novel superconductors” -
発見の背景に忘れられたソ連の理論がある…!?
People are coming to soviet communist account to read about soviet engineering applied to synthesis of a material predicted by soviet theory of superconductivity and are surprised to hear defenses of Soviet Union.
— Iris (@iris_IGB) August 2, 2023
- 理論背景にHyun-Tak Kim による拡張BCS理論
- Room-temperature-superconducting Tc driven by electron correlation, sci. rep. (2021)
- Correcting the fatal flaw in BCS theory, APS March Meeting 2022
- Science commentary; A Room-Temperature Superconductor? New Developments
- DJTはKL-99を想定していた…!?(from Truth Social)
https://edition.cnn.com/2023/03/03/politics/donald-trump-freedom-cities-flying-cars/index.html - 自然科学はコンピュータサイエンスを見習うべき!? https://twitter.com/PlanckScale/status/1686724752340365312
この中島さん@snakajimaのポストについては押川さん@MasakiOshikawaもコメントされていますが、そもそもarXivの発祥の地は私が理事長を務めるアスペン物理学センター@AspenPhysicsであることを指摘しておきたいと思います。
参考資料として、ニューヨークタイムズ紙に掲載された記事を添付します。 https://t.co/muJvcoXZbE pic.twitter.com/6nOjjfl2HR— 大栗博司 (@PlanckScale) August 2, 2023
質問コーナー
- 「常温とは具体的にどの範囲(何度から何度)をいうのでしょうか。」
- 「期待大ですが、何を以て超伝導認定していいのか未だによくわかりません」
- 「超伝導素人の質問で大変恐縮ですが LK-99が室温超電導物質だったと仮定した場合 生活はどのようなものになると想定できますでしょうか? 電線等には利用されてエネルギーロスが減ることは想定できるのですが、その他の活用が想定されるシーンや例えば逆に『電子機器の内部部品へ超電導は活用しにくい』などあれば教えていただけると幸いです。」
- 「よくある超伝導体の磁気浮上では、冷やした超伝導体の上に磁石を浮かせますが、上下を逆にした時に超伝導体が固定されるとしたら、それは、ピン止め効果では無いようにおもいますが、本当に成立するんでしょうか?」
- (buka) またRedditですが、磁石の上に冷やした高温超伝導体(YBCO)を浮かせている動画がアップされています。https://www.reddit.com/r/LK99/comments/15i5kay/i_made_a_video_of_the_meissner_effect_w_a_small/
- 「LK-99で出来た避雷針を作れば雷発電とかできてしまうのでしょうか?」
- (buka) 臨界電流や発生位置の特定などの条件による?
参考: https://www.jlpa.jp/measure/about_thunder.html
参考: https://web.quizknock.com/kaminari-hatsuden
- (buka) 臨界電流や発生位置の特定などの条件による?
- 「LK-99について質問です! みなさんは、LK-99についてどのような評価をしているでしょうか? 現時点で、以下の三つの項目について、確信度をそれぞれ挙げていただけますと幸いです。
①常温常圧超伝導、あるいはそれ以上の大発見
②常温常圧超伝導ほどではないが、かなりの大発見
③なにかの間違い、あるいは捏造」 - 「時系列順に、lk-99に対する期待度を0から10で評価してほしいです。あと例の完全浮遊の動画がフェイクでないと仮定したときの値も知りたいです。 あと部品さんって何者なんですか?」
お知らせ
- 出演して頂ける方や感想などをお待ちしております。 #interaxion
おたよりコーナーを作りました。質問、感想、要望などお待ちしております。https://t.co/rz0mlRKZU3
— Interaxion Podcast (@interaxion) January 12, 2021