Courrier 001: グラショウ共鳴の発見
南極で行われているニュートリノ実験の IceCube グループが、グラショウ共鳴の観測を発表しました。結果は2021年3月10日付けで Nature に掲載されています。
- 千葉大グループのプレスリリース
- Nature 掲載論文
- IceCube グループのプレスリリース
グラショウ共鳴については初めて聞きましたが、60年前の予想が今になって実証されたこと、また、6.4 PeV という、途方もないエネルギー1での共鳴が、既に PeV エネルギー領域のニュートリノを検出していた IceCube だからこそ観測できたということが面白かったです。
IceCube やスーパーカミオカンデのような水チェレンコフ検出器ではニュートリノと反ニュートリノを識別することが難しいのですが、IceCube ではグラショウ共鳴によって初めてニュートリノと反ニュートリノを識別できたことになるようです。でも 6.4 PeV 付近の場合しか識別できないので、役に立つのかどうかというのは少し気になります。一方、スーパーカミオカンデでは現在、水にガドリニウムを溶かす実験が行われており、これによって反ニュートリノを識別できるようになります。
今回のグラショウ共鳴に関する観測データは以下で公開されています。また、データ解析に使われたコードも GitHub に公開されています (ただし、詳しくはメールしてとのこと)。
- IceCube data for the first Glashow resonance candidate – IceCube
- IceCube Neutrino Observatory - GitHub
グラショウ共鳴が起こるとクォークと反クォークが生成され、ハドロンシャワーが生じるのでそれを検出したのだと思いますが、論文を読んでもいまいちピンと来ませんでした。詳しい方教えて下さい。このデータを見てみたら分かるかな・・・
その他の関連情報
IceCubeさん、宇宙から飛んできたすごい高いエネルギーのニュートリノが南極の氷の中でグラショー共鳴という現象を起こしていたことを見つける🌟 pic.twitter.com/FFTQptkf7s
— AKIMOTO Yuki/ひっぐすたん (@yukiRPM) March 22, 2021
-
現在、人類が作ることのできる最高のエネルギーは、LHC による 13 TeV なのでその500倍程度です。 ↩